ダイナミックプライシングの失敗例を3つ紹介!注意点や失敗しないためのポイントを解説

解説イメージ

近年さまざまな業界で活用が広がっている「ダイナミックプライシング」。うまく取り入れれば収益最大化につながる仕組みですが、一方で失敗例もあります。

ダイナミックプライシング導入で失敗しないためには、あらかじめ特性やデメリットを知っておくことが大切です。そこで、導入前に知っておきたいダイナミックプライシングの注意点や、失敗しないためのポイントをチェックしておきましょう。

ダイナミックプライシング導入による3つの失敗例

近年さまざまな業界で導入が進んでいる「ダイナミックプライシング」。メリットばかりが注目されがちですが、デメリットもあり、メリット・デメリットをしっかりと理解した上で導入しないと思わぬ失敗を招くこともあります。

ダイナミックプライシング導入で失敗しないために、実際にあった3つの失敗例を見てみましょう。

コカ・コーラ社の失敗事例

実は、コカ・コーラ社は1990年代後半に、アメリカの自動販売機でダイナミックプライシングの導入を計画していたことがありました。ところが、マスコミや競合他社などから批判を浴びた結果、計画が実行されることはありませんでした。

当時コカ・コーラ社が計画していたダイナミックプライシングは、気温が高いタイミングで自動販売機の飲料の価格を上げるというものでした。

ところが「商品の価値自体は変わらないのに、本当に飲みたいときに値段が上がる」という仕組みが消費者に受け入れられなかったこと、また業界の常識から外れていたこともあり、各所から批判を浴びてしまったのです。

旅行会社の失敗事例

毎年海外旅行をしていた家族が、とある旅行会社の商品に目星を付けました。ところが、家族会議をした後にいざ申し込もうとすると、その商品は値上がりしてしまっていたのです。

気分を削がれた家族は、海外旅行をやめて国内旅行をすることに。国内旅行の手配にあたっては、旅行会社の利用はしませんでした。これを機に国内旅行が気に入った家族は、それ以降も海外旅行ではなく、個人手配の国内旅行をするようになったのです。

このように、ダイナミックプライシングによって価格が上がってしまうと、顧客の購買意欲を急激に低下させ、結果的に顧客離れにつながってしまうケースもあります。特に、いざ購入や申し込みをしようとしたときに、事前にリサーチしたよりも価格が上がっていると、抵抗感を持たれやすくなります。

ホテルの失敗事例

とあるホテルがダイナミックプライシングを導入した結果、特定日の宿泊費が大幅に上昇。需要が高まるタイミングであったため、それでもほぼ満室状態となりました。

これだけを聞くと成功事例のようですが、落とし穴がありました。その日に宿泊したゲストの評価は「どう考えても価格に見合わない」「2度と泊まらない」と散々なものだったのです。

企業側は「需要が高まる日に価格を上げるのは当然」と考えるかもしれませんが、顧客が考える「価値」と実際の価格にギャップがありすぎると、顧客離れを招いてしまうことになります。

そもそもダイナミックプライシングの仕組みとは?

「ダイナミックプライシング」とは、需要と供給の状況に応じて、商品やサービスの価格を柔軟に変動させる仕組みのこと。高頻度で価格の変更が行われることが多いのもダイナミックプライシングの特徴で、企業によっては1日に何度も価格変更を行っているケースもあります。

では、ダイナミックプライシングにおいては、どのようにして商品・サービスの価格が決まっているのでしょうか。

競合の商品価格を参考に価格を決めている

ダイナミックプライシングにおける価格決定方法のひとつが、競合の商品・サービスの価格を参考にすることです。

ネット通販などにおいては、商品ごとに上限価格と下限価格を設定した上で、競合店舗の価格をウォッチして、競合店舗よりも少しだけ自店舗の商品価格が安くなるようにするといった運用が行われています。

機械学習によって自動で価格が決まる

最近では、ダイナミックプライシングを自動化できるAIツールが普及しつつあります。

こうしたツールは競合他社のデータはもちろん、自社の過去の販売実績、天候、イベントカレンダーなど、幅広いデータをもとに需要予測を行い、価格を決定します。消費者の購買意欲に影響を与えるさまざまなデータを判断材料にすることから、競合他社の価格をもとにした価格設定よりも精度が高いのが特徴です。

ダイナミックプライシング導入時の注意点

収益を最大化できるチャンスが高まるダイナミックプライシングですが、デメリットも存在します。ダイナミックプライシングで失敗しないよう、導入時の注意点を押さえておきましょう。

多額の投資コストがかかる

需要と供給の状況に応じて商品やサービスの価格を柔軟に変動させるダイナミックプライシングは、データ収集・分析、需要予測、価格変更といったプロセスを伴うため、非常に手間のかかる業務です。

最近ではAIツールの登場によってダイナミックプライシングの導入ハードルが下がっているものの、当然、ツールの利用にあたっては、初期費用や月額費用などが発生します。

ダイナミックプライシングは収益最大化を目指すための仕組みとはいえ、100%ダイナミックプライシングによる収益増が投資コストを上回るとは限りません。

消費者から不信感を抱かれてしまう可能性がある

ダイナミックプライシング導入で最も神経を遣うのが、顧客離れを招かないようにすることです。

「需要と供給の状況に応じて価格を変動させる」という仕組みは、一般消費者には理解されにくいことも多々あります。そのため、需要が高まっているからといって極端に価格を吊り上げると「儲け主義」「足元を見ている」といった不信感につながります。

また、同じ商品・サービスの価格が、自分が購入・利用したときよりも下がっているのを見ると面白くないと感じる人も多いでしょう。

ダイナミックプライシングで失敗を避けるためのポイント

ポイントイメージ

ダイナミックプライシングは上手に活用すれば収益を最大化できる画期的な仕組みですが、前述の通りデメリットもあります。

ダイナミックプライシングで失敗を避けるために、まずコスト面では、ダイナミックプライシングによる収益増が導入コストを上回るか、事前にしっかりシミュレーションをしておくことが大切です。

顧客満足度の観点からは、「購入しようと思ったら値段が上がった」といった事態を極力回避するため、「この価格で購入できるのはあと〇時間」など、価格の有効期限を明示しておくことも有効でしょう。航空会社では「この運賃であと〇席」といった表示をしているケースもあり、これは検討にどの程度の猶予があるのかを消費者に示すだけでなく、早めの購入を促すインセンティブにもなります。

また、顧客との関係維持やブランディングの観点から、あえて価格の上限や下限を設けるのもひとつの方法です。例えば、ダイナミックプライシングの普及が進んでいるホテル業界では、価格を上げすぎると顧客満足度が下がることから、繁忙日であっても宿泊費に上限を設けて、価格が上がりすぎないようコントロールしている企業も存在します。

まとめ

ダイナミックプライシングは近年幅広い業界で活用が進んでおり、プロセスの大部分を自動化できる便利なツールも登場しています。

一方で、価格の頻繁な変更は不信感につながることもあるため、ダイナミックプライシングの導入で顧客離れを起こさないためには、顧客視点での消費者への配慮が不可欠だといえるでしょう。

■記事作成:メトロエンジン株式会社

2016年創業。ダイナミックプライシングを活用したSaaSシステムのパイオニアとして躍進。ビックデータから人工知能・機械学習を活用し、客室単価の設定を行うダイナミックプライシングツールをホテルなど宿泊事業者に提供。また、レンタカー業界や高速バス業界など幅広い業界のDX支援事業も展開している。

サービスに関するお問合せはこちらから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です