ホテルの客室稼働率(OCC)とは?現在の推移を徹底解説!

ホテルを経営する上で、客室稼働率(OCC)の理解は収益にも関わるほど重要事項です。

本記事では、宿泊業界全体の客室稼働率とともに、どのようにして数値を上昇させればいいのか、見るべきポイントについてご紹介します。

これからホテル経営陣で戦略を練っていく担当者や、現在収益に関して伸び悩んでいる経営者はぜひ参考にしてください。

ホテルの客室稼働率(OCC)とは?

ホテルにおける客室稼働率(OCC)とは、ホテルの客室にどれだけお客様が宿泊しているかの割合を示す数値です。

観光地周辺の宿泊施設では、夏休みやGWなどの長期休暇・大型連休時に客室稼働率が上がり、閑散期には下がります。

また、ホテルや旅館周辺でイベントが催される場合も宿泊客は増えるので、客室稼働率から戦略を立てる際は、周辺状況の把握も必要です。

客室稼働率を求める際は、以下の計算式を用います。

・客室稼働率=販売客室数 ÷ 販売可能客室数 × 100

例えば、ホテル全体で販売可能な客室数が50室あり、そのうち20室販売したとした場合、客室稼働率は40%になる、という計算です。

客室稼働率が高いほど、利用客が多く収益が見込めると判断できます。

客室稼働率の目安についてはこちらの記事をご覧ください。

最新の宿泊客数と客室稼働率は回復傾向

国土交通省観光庁が発表した宿泊旅行統計調査によると、2022年8月の延べ宿泊者数は4,672万人となりました。

これは、新型コロナウイルスによる影響が出る以前の、2019年同月と比べると-26.1%の宿泊者数です。これは、2021年同月と比べると+49.3%と回復傾向にあります。

また、国内宿泊者数のうち日本人と外国人の割合にも変化がありました。

  • 日本人の延べ宿泊者数は4,595万人(2019年同月比-14.5%、2021年同月比+49.8%)
  • 外国人の延べ宿泊者数は77万人(2019年同月比-91.9%、2021年同月比+25.2%)

2020年と比べると、日本人の宿泊者数が増加しているのが理解できるでしょう。

また、客室稼働率については、2021年8月の日本全体の客室稼働率は50.1%となりました。

2019年同月では69.0%、2020年同月は36.2%と比べると、客室稼働率についても徐々に回復の兆候が見てとれます。

ホテルの客室稼働率の今後の展望とは?

従来のような新型コロナウイルス感染拡大に伴った自粛要請は、今後緩和されていくのが予想できるため、客室稼働率の上昇に期待ができます。

直近では、観光庁が2022年10月11日より全国旅行支援を実施するので、宿泊需要の急増が予測できるでしょう。

今後、宿泊業界の支援が定期的に実施される場合、一時的に客室稼働率は上昇数値を示し、新型コロナウイルス感染拡大以前の数値よりも高くなる可能性があります。

しかし、現在では経済不況も伴っているため、一過性のものに過ぎず、支援が終わったあとでも安い料金で宿泊できるコスパの良いホテルが好まれる傾向が続くでしょう。

そのため、ホテル事業としても利益の確保ができるよう、より繊細な料金調整をしながら客室を埋める戦略が必要になります。

ホテルの客室稼働率を上げるための方法

ホテル接客イメージ

ここでは、自社内で実施できるホテルの客室稼働率を上げるための方法についてご紹介します。

客室稼働率を高めるために、実施できるものがあればさっそく取り入れてみてください。

インターネットからの予約を導入する

1人に1台スマホやパソコンといったデバイスを持っている現代において、インターネットからの予約できる導線の確保は必須といえるでしょう。

インターネットの予約導入は、自社サイトだけでなく複数の予約サイトからできるようにしておくと、宿泊希望者の目にとまりやすくなります。

ただし複数の予約サイトを管理する場合、それぞれのサイトをチェックして空室管理をしなくてはいけません。

そうなると、作業に時間を取られてしまうので、一元管理ができるようなサイトコントローラーの活用がおすすめです。

さらに、インターネットからの予約を促進するためにはWebマーケティングが効果的です。ホテル・旅館向けのWebマーケティング術については、こちらの記事をご覧ください。

リピーターを増やす

新規顧客の獲得以上に、自社ホテル・旅館のファンになってくれる人を増やすことが重要です。

リピーターを作ると定期的な客室稼働率が見込めるため、お客様のニーズに応え、また訪れたいという気持ちにさせるサービスを提供しましょう。

リピーターやファンを増やすには、自社ホテル・旅館の強みや競合との差別化について考えることが大切です。

たとえば、自社ホテル・旅館を通して日頃の疲れを癒しにきたお客様には、過度なサービスはかえって逆効果になる場合もあります。

そのため、自社ホテル・旅館にどのようなお客様が宿泊するのか、強みや魅力を明確にし、うまくPRしてリピーターを増やしていきましょう。

需要に合わせて客室料金を変動させる

できるだけ客室稼働率が100%になるように、需要に合わせた戦略が必要になります。その中で最も効果的なのが、客室料金の変動です。たとえば、予約状況を加味しても当日の客室が10室余ってしまう場合があるとします。

このとき通常より価格を低く設定した5室のみの特別プランを提供することで、当日の宿泊利用を増やすことができるでしょう。

上記を例に、需要に合わせて客室料金を変動させ、稼働率100%を目指すよう調整してみてください。

客室料金の最適化や変動要因についてはこちらの記事をご覧ください。

ニーズや独自性のある宿泊プランの提供

現在において、AirBnBなどの民泊サービスも普及しつつあり、宿泊施設は実に多様なサービスが展開されています。そしてホテルや旅館業界が生き残っていくためには、ニーズや独自性のある宿泊プランによって、注目を集めることが大切です。

その地域に住んでいる人は宿泊料金が安くなるプランや、朝食が豪華になるようなプラン、チェックインが早いプランなどを用意して話題性を追求したいところです。

独自性のあるプランは、たしかに注目を集めますが、根底にはニーズに応えられているかが重要になります。

訪れるお客様の趣向や競合が提供しているプランなどを参考にしながら、自社だけのオリジナルな宿泊プランを考えてみてください。

積極的に情報発信をする

現在ではコンテンツマーケティングが主流になりつつあり、ホテル事業においても例外ではありません。

SNSやホームページを活用し、ホテル側から積極的に情報を発信すれば、リピーターを獲得できます。たとえば、ホテルで働かなければわからない情報、地域周辺の観光名所やイベントなど、自社ホテル・旅館に宿泊したくなるような情報発信がいいでしょう。

特にSNSは拡散性に優れ、多く拡散されるコンテンツが発信できれば認知拡大にもつながります。

ITを活用した情報発信は、現代において効果的な戦略であることを覚えておきましょう。

支出の最小化を検討する

客室稼働率の向上も大切ですが、収支を考えたときに支出の最小化を検討することも非常に重要な事項です。

客室稼働率が高くなったとしても、支出が大きいと利益が少なくなってしまいます。客室稼働率と利益、どちらもしっかりとバランスを取ることがこの先必要になります。

支出の例でいうと、OTA(Online Travel Agent)があります。

OTA経由で予約が発生した場合、宿泊手数料8〜20%ほど支払わなくてはならず、OTAに依存してしまうと、従来の収益が減ってしまうのがわかるはずです。

上記を避けるには、自社サイトからの予約を促す施策が必要です。

積極的に情報を発信し、自社サイトから予約してもらう販路を確保できれば、支出を減らすことができるでしょう。

それ以外でも、経費削減や作業効率向上のためにツールの導入や営業の見直しも効果的です。

客室稼働率を上げるだけではなく、収益を上昇させる点もみながら、施策の実施をしていきましょう。

まとめ

今回は、客室稼働率について、向上させるためのポイントとあわせて解説しました。

2020年に比べると、2022年の客室稼働率は回復傾向にあり、観光庁からの旅行支援もあることから宿泊需要の増加が見込めます。

そのため、より工夫をしながら自社内の客室稼働率を高め、最大限の収益化を目指す必要があるでしょう。

ぜひ、本記事を参考にして、自社ホテル・旅館の客室稼働向上に活かしてみてください。

■記事作成:メトロエンジン株式会社

2016年創業。ダイナミックプライシングを活用したSaaSシステムのパイオニアとして躍進。ビックデータから人工知能・機械学習を活用し、客室単価の設定を行うダイナミックプライシングツールをホテルなど宿泊事業者に提供。また、レンタカー業界や高速バス業界など幅広い業界のDX支援事業も展開している。

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