ホテル・旅館の多言語化の重要性とは?具体的な多言語対応策やメリットデメリットも解説!

新型コロナウィルスに対し各国の規制緩和が相次ぐ中、海外旅行の需要が急激に復活しています。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2023年7月の訪日外客数は 2,320,600人を記録しており、確実にコロナ禍前の水準へと戻りつつあることが分かります。 

しかし国内の多くのホテルや旅館において、外国人観光客の受け入れ態勢が十分でないのが現状といえるでしょう。特に言語の壁が目立つ一方で、深刻な人材不足にある宿泊業界はどのようにインバウンド対策をおこなっていくべきでしょうか。

本記事では、ホテルや旅館における多言語化の重要性やメリット・デメリット、また具体的な対応例を紹介します。これから増える外国人観光客の受け入れ態勢について悩んでいる観光業関係者の方はぜひ参考にしてください。

こちらの記事では、観光業界における「インバウンド」という語彙や関連キーワードについて解説していますので是非参考にしてください。

こちらの記事では、インバウンド対策全般の解説をしていますので是非参考にしてください。

なぜ多言語対応が必要なのか?

ホテル・旅館の多言語対応の実態

ではなぜホテルや旅館において、多言語対応が注目されるのでしょうか?

現在のホテル・旅館における多言語対応の実態として、多言語スタッフが不足している(もしくは居ない)施設や、英語表記がない施設が多くみられます。このままでは外国人観光客が戻っても対応しきれないのが現状です。

アフターコロナにおいて増えるインバウンド需要を確実に獲得するためにも、ホテル・旅館において多言語対応は必須といえるでしょう。

外国人観光客の困っていること第一位「言語」

観光庁がおこなった訪日外国人旅行者に対するアンケートによると、平成29年・平成30年・令和元年の3年連続で「施設等のスタッフとコミュニケーションが取れない」が1位となっており、毎年約20%の外国人観光客がコミュニケーションについて困っていると感じていることが分かっています。

続いて「無料公衆無線LAN環境」や「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」などが続いており、地図や看板などが理解できなかったり、出先ですぐにネット検索による翻訳なども行いにくい環境であることが現状といえるでしょう。

コミュニケーションが取れないことは旅行において多大なストレスとなることが予想され、それによって顧客単価の低下やリピート率の減少が想定できます。そういった点を踏まえても、多言語対応は必須といえるのです。

(出典:観光庁

多言語化のメリット、デメリット

メリット

ホテル・旅館が多言語対応を実施するメリットは非常に大きいです。まず、顧客満足度の向上が期待されます。飲食店の例を考えると、メニューが読めないときの不便さや不安感は想像できるでしょう。ホテル・旅館も同じで、サービスや施設の情報を適切に理解することが、滞在中の快適さや安心感に直結します。特にアレルギーや宗教上の制約など、細かな情報が求められる場面では、多言語対応は不可欠です。

また、ホテルの客単価の向上も期待できます。お客様が情報をしっかりと理解できれば、ホテル内のレストランや施設を積極的に利用することが増え、結果的に収益の向上につながります。

さらに、多言語対応はインバウンド対策やインバウンド集客においても大きな効果を持ちます。訪日外国人は、日本語を理解できない方が大半です。ホテルが多言語対応をすることで、外国人観光客を効果的に取り込むことができ、市場の拡大が期待されます。また、快適な滞在を経験すれば、帰国後にその良い経験を口コミとして拡散する可能性も高まります。

要するに、ホテル・旅館が多言語対応をすることで、顧客満足度の向上、収益の増加、外国からの客層の拡大など、多くのメリットが期待できるのです。

デメリット

ホテルが多言語に対応することのデメリットとして、最も大きなものはコストと手間の増加です。

まず、ホテルの案内やサービスメニューを多言語対応させるためには、既存の内容を見直し、翻訳会社との調整を必要とします。これには相当な時間と費用がかかることが予想されます。

さらに、フロントやレストランのスタッフにも複数の言語での対応能力を求める場合、翻訳ツールの導入や多言語対応のトレーニングが必要となり、これに伴う教育コストや労力も考慮しなければなりません。

多言語化対応の具体例

ではホテル・旅館の多言語化において具体的にどのような対応策があるのでしょうか?

多言語対応というと、外国人スタッフの採用や多言語システムの導入などが思いつきますが、いずれもかなり高額であったり導入に際し手間がかかるものです。しかし、案外身近な工夫や試作が多言語対応となる場合もあります。

ここでは多言語対応システム、ツールの紹介も含みながら、身近な工夫による多言語対応を紹介します。

アイコンの設置

アイコンの設置は、言語の障壁を効果的に取り除く手段のひとつです。たとえば、部屋の設備やサービス、禁止事項や注意事項など、ホテル内での情報伝達が必要な場面でアイコンを使用すると、言葉を知らない外国人観光客でも瞬時に内容を把握することができます。

これにより、ホテルスタッフと客との間のコミュニケーションのスムーズさが向上し、安心感を提供することができます。実際に、視覚的な情報伝達は直感的であるため、多言語対応としてアイコンの利用は非常に効果的です。ホテルがアイコンを設置することで、より多くの外国人観光客にとって使いやすい環境を提供することができると言えるでしょう。

FAQや多言語案内表示の作成

外国人観光客が新しい場所や文化に触れる際、多くの疑問や不安が生まれるものです。

ホテルの館内設備の利用方法、周辺の観光スポット、食事の手配やチェックアウトの際の手続きなど、多くの情報が求められます。また、同じ質問が繰り返し寄せられることも少なくありません。このような頻出の質問をFAQとして事前に多言語で用意しておくことで、スタッフの手間を減少させると同時に迅速な対応を可能にします。

同様に、外国人観光客はホテル内での案内表示やメニューを頼りに行動します。もし、これらの情報が彼らの言語で提供されていない場合、不便や困惑を感じることが考えられます。飲食やショッピング時に特にそのニーズが高まるため、多言語化された案内表示は、満足度を高める上で欠かせない要素と言えるでしょう。

Webサイトの多言語化

実は、日本語は世界的な規模で見ると、一部の人々しか理解していないマイナーな言語と言えます。そのため、ホテル・旅館のウェブサイトが日本語のみで展開されている場合、訪れる外国人客は内容を理解することができず、興味を持ちながらもすぐに他のページへ移動してしまうことが多いのです。

これは、国際的なホテル業界において大きな損失となり得ます。しかし、言語のバリアのためにアクセスしてくれた外国人観光客を失うのは、ビジネスチャンスを逃してしまうことと同じです。

そこで、ホテルウェブサイトを多言語対応にすることで、様々な国籍の客を迎え入れることができます。特に、英語、中国語、韓国語など、主要な言語に対応することで、より多くの顧客を引き寄せることができるでしょう。多言語サイトの導入は、国際的なホテル業界で競争力を持つための必要不可欠なステップと言えます。

決裁システムの導入

決済手続きは滞在の最後を締めくくる重要なステップであり、この部分でのスムーズな対応がゲストの印象を左右します。

多言語対応の決済システムを導入することで、外国語を理解しないスタッフでも、システムがゲストとのコミュニケーションをサポートしてくれるため、言語に関連した誤解やトラブルを大幅に減少させることができ、迅速かつ正確な決済手続きが可能となります。

大規模なホテルや、外国人観光客を多く受け入れる施設にとって、多言語対応の決済システムは、サービス品質の向上や業務効率化を実現するための必要不可欠な投資といえるでしょう。

多言語接客ツールの導入

通訳アプリや多言語化システムは、接客時に非常に効果的なツールとなります。特に外国語が不得手なホテルスタッフにとって、これらのツールは意思疎通の大きなサポートとなり得ます。もちろん、現在の技術では完璧な翻訳を実現するのは難しいかもしれませんが、ゲストの基本的な要望や質問を理解し、それに対応するための情報を提供するには、十分な精度を持っています。

多言語化ツールのなかには、多言語に対応し翻訳機能を持つだけでなく、レストランの混雑情報から館内案内、地域情報、さらにはエンタメ情報まで幅広く提供しているものもあります。こういった一元化サービスを導入することで、スタッフとの直接的なコミュニケーションの頻度を減らすことができます。多言語化ツールは、外国人ゲストとのスムーズなコミュニケーションを確保し、高い満足度を得るための不可欠な手段と言えるでしょう。

まとめ

今回はホテル・旅館における多言語化の重要性やメリット・デメリット、また具体的な対応例ついて解説しました。アフターコロナのなか、急増している外国人観光客の受け入れ態勢を整えるためにも多言語対応は重要です。ツールの導入や外国人スタッフの採用ももちろんですが、FAQの作成やアイコンの設置など少しの工夫が多言語対応となる場合もあります。ぜひ本記事を参考にして、多言語対応に活用してみてください。

記事作成:メトロエンジン株式会社

2016年創業。ダイナミックプライシングを活用したSaaSシステムのパイオニアとして躍進。ビックデータから人工知能・機械学習を活用し、客室単価の設定を行うダイナミックプライシングツールをホテルなど宿泊事業者に提供。また、レンタカー業界や高速バス業界など幅広い業界のDX支援事業も展開している。

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