ホテルの客室稼働率の目安は?計算方法や稼働率を上げる方法を紹介

ホテル経営における重要指標のひとつが、「いかに客室が利用されているか」を示す「客室稼働率」です。客室稼働率はホテルの収益に直結するだけでなく、人員計画にも影響します。

そんな客室稼働率の計算方法や、客室稼働率を上げる方法などについて、わかりやすく解説します。

客室稼働率とは?

「客室稼働率」とは「一定期間における客室の利用状況」を示す数値で、「OCC(Occupancy rate)」と呼ばれることもあります。

客室稼働率が高ければ高いほど、「部屋が埋まっていて、そのぶんの売上が入ってくる」ということなので、高い客室稼働率を維持することは、高い収益を確保することに直結します。反対に、客室稼働率が低いということは、「遊ばせてしまっている空室が多い」ことを意味するので、客室稼働率をアップさせる工夫が必要になってきます。

また、客室稼働率が高いときは清掃業務やチェックイン業務などをスピーディーかつ効率的にこなす必要が出てくるため、客室稼働率は人員計画にも影響します。

収益はもちろんのこと、人員計画にも関連する客室稼働率は、ホテル経営において極めて重要な指標のひとつなのです。

客室稼働率の計算方法

では、客室稼働率はどのように計算すればいいのでしょうか。客室稼働率は以下の計算式で簡単に導き出すことができます。

客室稼働率=「利用されている客室数」÷「利用可能なすべての客室」×100(%)

利用可能な客室数が300室のホテルで、240室が利用されている場合、上記の計算式にあてはめると、客室稼働率は80%となります。

240÷300×100=80.0(%)

さらに、以下のように100から客室稼働率をマイナスすることによって、空室率も簡単に計算できます。

空室率=100-客室稼働率(%)

例えば、客室稼働率が80%の場合、「100-80」で空室率は20%となります。

日本全国の客室稼働率

客室稼働率について基本を抑えたら、「客室稼働率はどのくらいが平均的なのか」「どのくらいの客室稼働率を目指せばいいのか」という疑問が湧いてくるのではないでしょうか。

客室稼働率は、都道府県や宿泊施設のタイプによっても大きく異なります。まずは、全国における客室稼働率トップ10とワースト3の都道府県をみてみましょう。

【都道府県別の客室稼働率】

1位:東京都 79.5%

2位:大阪府 79.0%

3位:福岡県 71.7%

4位:千葉県 70.6%

5位:神奈川県 70.4%

6位:埼玉県 70.2%

7位:広島県 69.3%

8位:愛知県 68.8%

9位:京都府 66.3%

10位:北海道 65.3%

45位:新潟県 44.3%

46位:奈良県 44.2%

47位:長野県 39.2%

客室稼働率トップの東京都と下位の県とのあいだには、実に30%以上の開きがあることがわかりますね。

次に、宿泊施設タイプ別の客室稼働状況をみてみましょう。

【宿泊施設タイプ別の客室稼働率】

旅館:39.6%

リゾートホテル:58.5%

ビジネスホテル:75.8%

シティホテル:79.5%

簡易宿所:33.4%

ビジネスホテルやシティホテルに比べ、旅館や簡易宿所の客室稼働率は大幅に低くなっていることがわかります。

※出典:観光庁 宿泊旅行統計調査(コロナ禍前の平成31年1月~令和元年12月の実績)

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001350485.pdf

客室稼働率を上げる方法

客室稼働率の低下は死活問題である以上、客室稼働率が一定水準を下回ってしまっている場合、少なくとも事業継続が可能なレベルにまで客室稼働率を引き上げなくてはなりません。

客室稼働率を上げたい場合、以下の対策を検討してみるといいでしょう。

リピーターを増やす

新規顧客の獲得も大事なことですが、安定的な収益を確保するためには、何度も宿泊してくれるリピーターの存在が欠かせません。リピーターは新規顧客よりも単価が高いという特徴があることに加え、リピーター―獲得のコストは新規顧客獲得の10分の1程度で済むといわれています。

リピーターを増やすには、当然、1度泊まったゲストに「また泊まりたい」と思ってもらう必要があります。そのためには、印象的なおもてなしといった「人的対応」と、リピートするとゲストにメリットがある「仕組み」の両面で工夫するといいでしょう。

リピート促進のための人的対応としては、一歩先を読んだ接客やゲストのちょっとしたリクエストに応えるきめ細やかな対応などが挙げられます。次回以降に備えて、滞在中に知りえたゲストの好みやリクエストなどの情報を記録・共有しておくことも大切です。

一方、リピートを促進する仕組みとしては、独自の会員プログラムやポイント制度などが有効です。貯まったポイントを次回以降の宿泊で割引に使えるようにする方法や、一定以上の利用実績がある場合、客室のグレードアップのようなサービスが受けられるようにする方法などがあります。

訳アリ部屋も売り出す

「宴会場に近いため、騒音が気になる」「ほかの部屋よりエアコンの音が大きい」「景観が良くない」など、同タイプのほかの客室に比べ条件が悪い、いわゆる「訳アリ部屋」は、クレーム回避のため空室になってしまいがちです。

ところが、「多少条件が悪くても、安いほうがいい」という人もいるもの。そういった人のニーズをとらえるために、訳アリ部屋もプラン化して売り出してしまうというのもひとつの選択肢です。ただし、その際は「どのような点が訳アリなのか」を目立つように記載し、納得したうえで泊まってもらうようにしましょう。

OTAに頼らず、公式サイトも充実させる

インターネット全盛の今、ホテル予約もネット上で済ませることが当たり前になりました。

多くのホテルはOTA(Online Travel Agent:オンライン・トラベル・エージェント)にプランを掲載し、集客を図っていますが、OTAだけに頼ってしまうのは考えものです。

集客力の高いOTAでの掲載がホテルを知ってもらうきっかけになるケースが多いのは事実ですが、OTAをきっかけに興味を持ったユーザーは、ホテルの公式サイトを訪れて、さらに詳しい情報を得ようとします。にもかかわらず、せっかく公式サイトを訪れたのにOTAの施設ページに掲載されている以上の情報を得ることができなければ、ユーザーはがっかりしてしまうでしょう。

なにより、OTAのページには各社のフォーマットがありますが、公式サイトはOTAのフォーマットに縛られることなく、ホテルの世界観をダイレクトに伝えられることから、ブランディングに寄与します。

OTAか公式サイト、いずれかに偏るのではなく、それぞれの強みを理解してどちらにも注力することが大切なのです。

自社公式サイトのSEO対策をする

「SEO対策」とは、検索エンジンでホテル名などを検索したときに、自社のサイトが検索結果の上位に表示されるよう最適化を行うことです。

OTAや旅行メディアなど、なんらかのきっかけでホテルに興味を持ったユーザーの多くは、ホテル名でネット検索をします。ところが、SEO対策が十分でないと、自社の公式サイトが検索結果の上位に表示されないせいで、ユーザーの目に入らず、サイトを訪れてもらえないということになりかねません。

そういった事態を避けるには、「検索されるキーワードをしっかりと盛り込んだコンテンツを制作する」「ユーザーが知りたいと思うような価値ある情報を充実させる」など、自社サイトのSEO対策に力を入れる必要があります。最近のネット検索はスマホで行われるケースが増えているため、スマホで表示したときに見やすいよう最適化することも欠かせません。

人件費の比率を抑える

直接的に客室稼働率を上げる方法ではありませんが、客室稼働率が低いなかでも事業を継続するには、IT等の活用によって生産性を高め、人件費比率を抑えることも大事になってきます。

感染症の流行などの外部要因によって客室稼働率が低い状態が続いている場合、ホテル単独でできることには限界があります。また、客室稼働率を上げるためのアプローチはすぐに効果が出るものばかりではありません。

思うように客室稼働率が上がらないときは、人件費を必要最低限に抑えた場合、何部屋まで販売が可能なのかを把握し、売上と経費のバランスを取ることも大切なのです。

まとめ

客室稼働率は収益性に直結するため、ホテルとしては年間を通して一定以上の客室稼働率を維持したいもの。

客室稼働率を上げるには、さまざまなアプローチがあります。ホスピタリティの底上げによる顧客満足度の向上など、短期的には成果が出にくいアプローチもありますが、さまざまな角度から地道な取り組みを継続していくことが大切だといえるでしょう。

■記事作成:メトロエンジン株式会社

2016年創業。ダイナミックプライシングを活用したSaaSシステムのパイオニアとして躍進。ビックデータから人工知能・機械学習を活用し、客室単価の設定を行うダイナミックプライシングツールをホテルなど宿泊事業者に提供。また、レンタカー業界や高速バス業界など幅広い業界のDX支援事業も展開している。

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