レベニューマネジメントとは?意味と実施手順、活用事例まで徹底解説!

航空業界、ホテル業界、飲食業界など、様々な業界で活用されている手法が「レベニューマネジメント」です。「レベニュー = 売上・収支」、「マネジメント = 管理」が表すように、売上・収支の最大化を目指すための手法になっています。

そのため、実際の運用方法や基礎について知りたい担当者の方も多いでしょう。そこで、当記事では「レベニューマネジメント」の活用事例などを交えて、基礎や実施方法について丁寧に解説していきます。

レベニューマネジメントとは?

レベニューマネジメントとは、顧客の需要に合わせて価格を変動させ、利益を最大化させる手法を指します。

例えば、以下のような業界で、日にちによって価格が変動しているのを目にしたことがあるはずです。

  • ホテル業界
  • 航空業界
  • レンタカー業界
  • テーマパーク業界

上記のような業界は商品・サービスが翌日・翌月に繰り越せず、売れ残りが発生した分が、そのまま機会損失につながります。

そのため、需要に合わせた価格調整を行い、少しでも商品・サービスを全て使ってもらえるように施策を行うのです。

需要を正確に予測するには、顧客の行動パターンの分析や周辺環境のイベント動向などを含めたデータから算出しなくてはいけません。

現在では、AI技術を用いて膨大なデータから予測ができるレベニューマネジメントツールなども普及しつつあります。

レベニューマネジメントツールによって業務効率化や収益の最大化を図り、実際に成果を出している企業も少なくありません。

ホテル業界でのレベニューマネジメントについてはこちらの記事をご覧ください。

レベニューマネジメントの活用事例

先ほど紹介した4つの業界で、実際にどのようなレベニューマネジメントが用いられているのか気になる方も多いはずです。

では、それぞれの業界のレベニューマネジメント活用事例について見ていきましょう。

航空業界

航空業界では、いち早くレベニューマネジメントが導入されています。

航空チケットは早めに購入した方が安くてお得、というイメージは多くのユーザーに浸透していますが、これはレベニューマネジメントの活用事例の1つです。

例えば、以下のようなシーンがあったとしましょう。

A. 子どもの夏休みに家族旅行で飛行機を利用するため、3ヶ月前に予約をする

B. 取引先との会議で飛行機を利用するため、3日前に予約をする

この場合、

  • Aでは早期購入してもらうことでお得な価格帯で航空券を入手可能。ただし便の変更は制限される
  • Bでは正規の料金になるものの、便の変更など柔軟に対応可能

といったサービスの違いによって、両者の目的を達成させるのが航空業界のレベニューマネジメントの一例です。

ホテル業界

ホテル業界では、全室のうちいくつかの部屋を早期割引によって安く提供し、残りは正規料金というような手法を用いています。

当日に正規料金で宿泊する顧客がいると仮定すると、全ての部屋を安くするのは損失になる可能性が高いです。

そのため、早期割引を適用する部屋数をあらかじめ設定して、増収を狙う手法が取られています。

飲食業界

飲食業界にある、18時までのご注文で飲み物が安くなるハッピーアワーが浸透していますが、これもレベニューマネジメントの一種です。

早く来店することによって飲食代が安くなるというメリットを提供し、比較的空いている時間帯の集客を狙った戦略になります。

また、居酒屋のコースでも、

  • 通常:食事のみ4,000円コース
  • 平日限定:2時間飲み放題付き3,000円コース

といったように、客足の少ない曜日や日にちを設定して安く提供することで、安定した売上を確保する方法もあります。

レンタカー業界

レンタカー業界でも、レベニューマネジメントが取り入れられており、期間や地域によって料金が変動する仕組みです。

需要の多い地域やシーズンになると料金は高くなり、それ以外ではリーズナブルな料金で提供し、価格帯をコントロールしています。

ダイナミックプライシングの成功事例についてはこちらの記事でも紹介しています。

レベニューマネジメントを行う4つの手順

レベニューマネジメントを行うには、4つの手順を段階的に踏んでいく必要があります。

では、それぞれの手順ごとに紹介するので、レベニューマネジメント導入の参考にしてみてください 。

①現状分析をする

レベニューマネジメントは、これまでのデータから将来の需要を予測するため、現状分析から始めます。

  • 売上高
  • 営業利益
  • 集客数(1日あたり/月間)
  • 顧客単価
  • 稼働率

以上を例に、できるだけ詳細のデータを月次ベースで集計してください。

レベニューマネジメントは、いかに稼働率を高くして最大限の収益を上げられるかが肝ですので、未稼働な商品・サービスに着目していきましょう。

②顧客分析をする

現状分析の次は、顧客のニーズと行動パターンを分析します。

例えば、ホテル業界だと、以下のようにいくつかの顧客グループに分類されるはずです。

・旅行を考えている家族グループ

・急な出張のために宿泊を考えているビジネスマングループ

家族グループの場合は、主に長期休暇や連休を使って宿泊を考えている場合が多く、期間に余裕があり、同一条件下の複数のホテルから安いところを探します。

ビジネスマングループの場合は、日程には余裕がなく、多少高くとも取引先の近くで確実に宿泊ができる場所を探しているはずです。

このように、顧客をグループに分類することで、最適なタイミングで最適な価値の商品・サービスを提供できるようになります。顧客分析を間違ってしまうと、レベニューマネジメント自体が機能しなくなってしまうので、慎重かつ正確に行うようにしましょう。

③需要予測をする

続いて、需要予測に基づいて提供価格を決定します。先ほどグループ分けしたホテルに訪れる顧客を例として考えると、以下のような料金設定が可能です。

顧客グループ購入期間料金
家族客宿泊から3ヶ月前まで7,000円〜
全顧客宿泊から2週間前まで10,000円〜
ビジネス客宿泊当日まで20,000円〜

もし、客室が50室あった場合、

・50室×10,000円=50万円

となり、1日50万円の売上が最大値となります。

一方、レベニューマネジメントを活用し、家族客:全顧客:ビジネス客=15:20:15にすると

  • 15室×7,000円=10万5,000円
  • 20室×10,000円=20万円
  • 15室×20,000円=30万円
  • 合計60万5,000円

上記のように、全室通常料金にするよりも収益の最大化が見込めるのです。

もちろん、これは全室埋まった時を仮定しているため、計算通りにはならない可能性は十分にあります。

しかし、レベニューマネジメントを活用すれば、通常の経営戦略よりも収益の最大化が見込めるという点を理解しておいてください。

④効果検証をする

需要予測に基づいて料金を設定できたら、実際に効果を検証するフェーズです。

簡単に効果を検証する方法としては、前年同期に比べて売上高と利益額がどう変動したかを見るといいでしょう。

また、収益予想値と実際の数値を見比べて、差が生じていないかも確認してください。

レベニューマネジメントは、将来の予測という域を越えないため、最適化するのに膨大な時間がかかります。

そのため、得られるデータを全て活用し、PDCAサイクルを回しながら適切なレベニューマネジメントに仕上げていきましょう。

また、これらのレベニューマネジメントを専門的に行うレベニューマネージャーというプロフェッショナルも存在します。レベニューマネージャーの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

今回は、レベニューマネジメントについて、実施手順から活用事例までご紹介しました。適切なタイミングで適切な価格帯を提供することで、利益の最大化を狙うのがレベニューマネジメントの真髄です。

そのため、これまでのデータを収集し、正確な需要予測をもって、顧客・企業双方が納得のいく価値を提供できるようにしましょう。

■記事作成:メトロエンジン株式会社

2016年創業。ダイナミックプライシングを活用したSaaSシステムのパイオニアとして躍進。ビックデータから人工知能・機械学習を活用し、客室単価の設定を行うダイナミックプライシングツールをホテルなど宿泊事業者に提供。また、レンタカー業界や高速バス業界など幅広い業界のDX支援事業も展開している。

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