ホテル業界に従事する身としては、お客様がホテルを選ぶ基準について知っておくべきでしょう。
なぜ、このホテルを選んだのか、という点が明確になれば、経営戦略に落とし込むことが可能になるはずです。
本記事では、お客様がホテルを選ぶ際の基準を徹底解説します。
ホテル予約の際に重視する点を順位にしてご紹介もするので、ぜひ参考にしてください。
ホテルを選ぶ基準は2種類
お客様がホテルを選ぶ基準は「観光」と「宿泊」の2種類に分かれます。
では、それぞれの基準によって、選ぶホテルがどう変わるのかを見ていきましょう。
観光をする際の宿として利用する際
観光・ビジネスをする際には、目的とする場所周辺にある宿を利用するはずです。
多くのお客様が、観光やビジネスの出張を理由に宿泊するため、アクセスの良さやチェックイン・アウトの時間といった機能面を重視する傾向にあります。
ホテルに泊まることが目的で利用する際
ホテルの内観のデザインやサービスに魅力を感じ、そのホテルに宿泊することが目的の場合もあります。
そのため、「高級ホテル」や「コンセプトホテル」に宿泊したい方が見込み客となり、よりPR力が長けているホテルが選ばれる傾向にあります。
しかし、やみくもにPRを行っても意味がありません。効果的なWebマーケティング術についてはこちらの記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。
日本人がホテルの予約時に重視する基準は?
では、日本人がホテルを予約・利用する際に、どのような点を重視しているのかを見ていきましょう。
今回は、
・エクスペディア・ジャパン
(https://welove.expedia.co.jp/press/46424/)
・株式会社ジェイ・ディー・パワー ジャパン
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000042677.html)
上記の2社が調査したデータをもとに考えていきます。
ホテルの予約時に重視するものランキング5位
まずは、ホテルの予約時に重視するものをランキング形式でご紹介します。
1位 宿泊料金
お客様がホテルを予約する際に、宿泊料金を最も重視しています。
例えば、立地やサービスが同じホテルなら、宿泊料金が安い方を利用した方がお得です。
特に観光が目的の場合、ホテルのサービスや多少の立地の悪さは重視されず、料金の安さに注目するようです。
また、近年の経済不況の観点からも、できるだけ旅行費を抑えてレジャー・観光を楽しむ傾向にあります。
そのため、ホテル経営者としては、常に一定料金で提供するのではなく、ダイナミックプライシングを導入するのが適切です。
需要に合わせて料金変動を行えると、安い価格帯のときに利用するお客様の増加に期待できるでしょう。
ダイナミックプライシングの基本については、こちらの記事をご覧ください。
2位 温泉・大浴場が内設されている
意外に思われるかもしれませんが、近年のホテル利用者は、温泉・大浴場が内設されている点を重視しています。
事実、株式会社ジェイ・ディー・パワー・ジャパンが調査した2020年と2021年のデータを比較すると、温泉・大浴場の内接を重視している回答率が約12%も上昇しています。
この結果は、コロナ禍によって遠方の旅行が抑えられているため、近場でゆっくり過ごしたいという方が多くなった影響でしょう。
リラックスできる場所で疲れを癒すという点で、宿泊施設に温泉や大浴場があるのは差別化としてPRが可能です。
3位 立地・アクセス
ホテルの立地や周辺へのアクセスも、選ぶ要素の1つになります。
目的が観光の場合は観光地への移動距離、出張の場合は取引先周辺にあるかでホテルを決めるでしょう。
ホテル周辺でイベントがある場合には、特に需要が高くなるため、近くに大型施設やイベント会場がある場合には、注意しておくべき要素といえます。
4位 部屋のタイプ
複数人で宿泊する場合は、部屋の広さやベッドタイプも重視されます。
非日常感を味わいたいため、部屋が広々としている、あるいは外の景色が見られるなど、何を求めるのかは様々です。
また、和室や洋室といった部分でも好みが分かれ、その中でツイン・ダブルがいいのかといった選択をしていくことになります。
5位 口コミ・評判が良い
近年では、商品・サービスを購入する際に口コミを参考にするユーザーが多く、ホテル選びにおいても例外ではありません。
なぜなら、実際に利用したユーザーが満足しているというリアルな意見は、見込み顧客にとって同じ立場の人間の信頼できる声になるからです。
そのため、訪れたお客様に高評価の口コミを投稿してもらえるような施策も、ホテル経営にとってプラスの要素になります。
日本人が宿泊先のホテルに重視する基準は?
日本人は宿泊先のホテルでの居心地の良さを重視する傾向にあり、ホテル全体よりも部屋に求める要素が多いことがわかっています。
では、ホテル経営者として、どのような部分に気をつけていけばいいのか考えていきましょう。
宿泊先ホテルに重視するものランキング5位
宿泊先ホテルに重視するものについてもランキングにしましたので、参考にしてみてください。
1位 Wi-Fi
今や完備されているホテルも多いですが、Wi-Fiが利用できるかどうかもホテルに求められています。
特にホテル内でも作業をすることが多いビジネス客にとっては、Wi-Fiがないホテルはストレスを与えてしまうでしょう。
また、一般のお客様でもWi-Fiを利用するので、ビジネス客をターゲットにしていない場合でも準備しておいた方が無難です。
次回以降も安心して宿泊できるという点では、Wi-Fiを完備しておくのは必須事項といえます。
2位 室内冷蔵庫
お客様が客室内で居心地よく過ごしてもらうには、室内冷蔵庫があるかどうかも必要です。
人によっては、ご自身で買ってきたお酒や飲食物を客室内で消費する場合があります。
その際、冷蔵庫があれば保存がききますし、いつでも冷えた状態で飲めるため、それだけで満足度は高くなるでしょう。
また、冷蔵庫内に販売スペースを設置するにしろ、お客様が自由に使えるスペースも確保できるようにしましょう。
3位 無料アメニティ
無料アメニティが充実している、という点もお客様は重視しています。
特に、自身で用意する荷物を少なくできる点で、充実したアメニティは満足度が向上するポイントになるでしょう。
無料で提供できるアメニティは以下のようなものがあります。
・シャンプー・コンディショナー・ボディソープ
・歯ブラシ・歯磨き粉
・ドライヤー
・ヘアブラシ
・カミソリ・髭剃り
・ヘアバンド
・バスタオル・フェイスタオル
・浴衣・バスローブ
・お茶・コーヒー
・お菓子
ホテルによってはトランプやテレビゲームのレンタルができるなど、より客室でできる娯楽の提供にもこだわっています。
4位 スパやWi-Fi、飲食物などの無料サービス
ホテルの満足度において、宿泊料金内に含まれている無料サービスについても重視されている傾向にあります。
例えば、温泉やスパ、Wi-Fiやウェルカムサービスなどの飲食物です。
無料サービスが多いほど、利用客はお得さやコスパの良さを感じるため、競合の差別化としても活かせます。
自社でどのような無料サービスを提供できるかどうか、他社を分析しながら考えていくのも良いかもしれません。
5位 無料の軽食サービス
料金内に無料の軽食サービスが含まれているのかも、ホテルに求められています。
特にビジネス客や少食のお客様は、ビュッフェ形式では量が多く、料金に含まれているのを不満に感じる場合も多いです。
そこで、最近では無料の軽食サービスが重視される傾向にあり、サッと食事を済ませられる点に評価が集まっています。
海外の旅行客がホテルを選ぶ基準は清潔感
これまで、日本人が国内ホテル選びに重視するポイントや基準について触れてきましたが、海外のお客様は一体どこを重視しているのでしょうか。
実は、日本人とは重視するポイントが若干異なり、「清潔感」を大切にしています。
近年の新型コロナウイルス感染症拡大に伴った傾向に加え、国民性が出ているのではないでしょうか。
また、エクスペディア・ジャパンの調べでは、各国で異なるものの、ホテル内のバーやレストラン、プールやスポーツ施設なども重視すると発表しています。
もし、インバウンド需要を狙った経営戦略を考えているなら、清潔感やその他の施設の整備を視野に入れておきましょう。
まとめ
今回はホテルを選ぶ基準について、ランキング形式で解説しました。
日本人は客室の居心地を重視する傾向があるものの、宿泊する目的によっても異なり、さらにはターゲットによっても変わります。
そのため、需要を的確に把握しながら、最適な準備を整えてお客様に選ばれるホテルを目指していくことが必要です。
また、自社ホテルの強みを押し出し、ブランディングを行うことも効果的です。ホテルブランディングについてはこちらの記事をご覧ください。
ぜひ本記事を参考にして、お客様が求める要素に応えられる、魅力的なホテルに磨き上げていきましょう。
■記事作成:メトロエンジン株式会社
2016年創業。ダイナミックプライシングを活用したSaaSシステムのパイオニアとして躍進。ビックデータから人工知能・機械学習を活用し、客室単価の設定を行うダイナミックプライシングツールをホテルなど宿泊事業者に提供。また、レンタカー業界や高速バス業界など幅広い業界のDX支援事業も展開している。
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