観光業界におけるインバウンド対策とは?メリットデメリット、具体策まで解説!

 先日、新型コロナウィルスが5類に移行し、続々と各国も規制緩和をおこない海外旅行の需要が復活しています。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2023年4月の訪日外客数は1,949,100人を記録し、外国人の個人旅行再開後で最高の数字を記録しました。 

 アフターコロナにおける観光業界において、インバウンド需要の獲得は収益にも関わる重要事項です。

 本記事では、観光業界におけるインバウンドの重要性や、メリットデメリット、具体的な対策方法をご紹介します。これからのインバウンド需要獲得に関して悩んでいる観光業関係者の方はぜひ参考にしてください。

インバウンド対策とは?

インバウンド対策とは

 インバウンドとは英語で「入ってくる」を意味し、業界用語としては「訪日外国人観光客」を指す言葉です。こうした観光客を対象にしたさまざまな施策を「インバウンド対策」と呼びます。

 インバウンド対策は、訪日する外国人観光客が日本のサービスを利用しやすく、また楽しく、快適に滞在できるような施策の総称です。外国人観光客が言葉や文化の壁に阻まれることなく、日本の施設やサービスを利用するための施策といえます。また、単に利便性を向上させるだけでなく、インバウンド対策は訪日客に日本の文化を深く体験してもらうことも重視しています。

 「インバウンド」の用語解説などはこちらの記事でご紹介しています。

インバウンド対策が注目される理由

 日本に訪れる外国人観光客、ビジネスマン、留学生など、いわゆる「インバウンド」は、日本経済の重要な要素となっています。訪日観光客が日本で過ごす時間中に発生する消費は、日本経済全体を大いに活性化させます。

 宿泊費・飲食費・交通費、その他にも、地元の観光スポットでお土産を購入したり、様々なサービスを利用することで地元経済に直接利益があります。日本が直面している少子高齢化による国内消費の減少を補うため、インバウンド対策に重点を置くべきだという意見が多く上がってきているのです。

 さらに、これらのインバウンド対策が推進されると、各企業はより高品質な商品やサービスの開発に挑戦する機会が生まれます。これにより、新たな価値創造が可能となり、日本全体の経済活性化や国際競争力の強化に寄与すると考えられます。

 これらの要素を考えると、インバウンドの力は無視できないほど大きなものであり、その可能性を引き出すためのさまざまな対策や取り組みが求められています。

インバウンド増加のメリット・デメリット

メリット

 インバウンド増加の最大のメリットは訪日観光客による消費であるといえます。観光庁のデータによると、2023 年 1-3 月期の訪日外国人旅行の消費額はおよそ1兆103億円とされており、日本国内での旅行中支出は、一人当たりだとおよそ21万1040円となっています。つまり、訪日観光客による消費は国内の経済を潤すといえます。

 また、インバウンド対策を通じて日本人自身が地域や製品を再評価し、自信や誇りを感じる機会を得るとともに、イノベーションへの期待も増大すると考えられています。

 特に観光業界においては、インバウンド対策によりビジネスチャンスの拡大や売上向上が期待できます。具体的なメリットとしては、新規顧客の獲得、口コミの拡散、客単価の上昇、訪日観光客の宿泊施設利用促進などが挙げられます。

デメリット

 近年、日本政府は観光を成長戦略の一部として推進し、訪日観光客の増加に努めており、これに伴いオーバーツーリズムやホテル不足、または宿泊業界における労働力不足が問題となっています。特にインバウンド需要に対応するためには多言語対応可能な人材を集める必要があり、人材確保の難しさが課題といえるでしょう。

 また、文化の違いからマナー違反が多く発生し、地域住民などとのトラブルが起こる可能性も考えられます。

 更に、インバウンドは多くの外的要因によって大きく数字が揺らぐ可能性があります。例えば近年だとコロナ禍による大きな落ち込みがあったが、それ以外にも外交関係や災害など多くの外的要因が関係してくる可能性があるでしょう。

具体策

的確なターゲティング

 まず、インバウンドを確実に獲得していくためには具体的なターゲティングが重要です。インバウンド獲得のため、掲げたターゲットが「訪日旅行外国人」だけではカテゴリが広すぎて対策方法が多すぎてしまい、結果につながりにくくなります。

 宿泊施設のタイプ・現在のインバウンド傾向・地域的な特徴などを加味し、メインターゲットとなる国や地域を定め、その地域からのインバウンドにどのような特徴があるのかを把握して対策を立てていく必要があるといえるでしょう。

ディスティネーションマーケティング

 上記のターゲティングにもつながってくるのがこのディスティネーションマーケティングです。デスティネーションマーケティングの主な目的は、旅行の行先を観光客が検索・情報収集する段階から意識し、その地域への興味や関心を高めて訪問を促すことです。

 現在の訪日観光客の特徴として、東アジアからの観光客数が圧倒的に多いことと、そのうちのリピート率の高さがあげられます。こういった特徴から考えると、地域ごとに新しい魅力を発信することが今後のインバウンドにおいて重要であるといえるでしょう。

 ディスティネーションマーケティングを実践しているホテル形態として分散型ホテルがあげられます。分散型ホテルは、地域の空き家や廃屋をリノベーションし、レセプション、客室、食堂などの機能をそれぞれの棟に分散させることで、宿泊者が自ずと町を巡り、地域そのものに活力をもたらす新しいホテル形態です。分散型ホテルや、その他地域密着型のメニュー考案やイベントの実施が対策として必要になるといえるでしょう。

多言語化

 観光庁が2019年に訪日観光客を対象として行ったアンケートでは、日本旅行において困ったことについて上位に「コミュニケーションが取れない」がランクインしました。

 日本語でコミュニケーションをとれる訪日観光客は少なく、その多くが旅行中に言語での不自由を感じているのが事実といえるでしょう。宿泊施設においても、適切な言語での対応ができないと損失につながる可能性もあります。

 そこで、多言語対応可能なスタッフの採用、多言語記載の看板やHPの制作、アイコンでの表示が必須の対応となってくるといえます。

宿泊施設の環境整備

 訪日観光客の悩みの中で、上記の言語問題に次いでおおいのがWi-Fi環境や通貨での不自由です。海外旅行において公衆無線LANは重要でありながら、日本は海外と比較すると無料Wi-Fiサービスがまだ少ないといえるのが現状です。また、宿泊施設におけるWi-Fiも、アクセスの多い時間帯になると低速化する問題などが見受けられます。

 また、現在はキャッシュレス化が進みカードやアプリでの決済が世界的に普及しています。しかし日本では各所でATMが見られるなどキャッシュレス化に一歩で遅れているといえるでしょう。とくに宿泊施設ではまとまった金額を支払うケースが多い中、現金のみでの対応となると事前に日本円への両替が必要であったり不便と感じるケースが多くなってきます。

 訪日観光客が日本に来て快適に過ごせる環境を作り確実にリピートを狙えるようにするには、Wi-Fiやキャッシュレス化などの対応が必須といえるでしょう。

SNSの活用

 積極的なSNS利用は非常に効果的であり、多言語対応Webサイトと組み合わせることで多くの訪日観光客に情報を発信することができます。画像や動画などの視覚的な要素を用いるとさらに効果が上がります。適切なSNSの選択はターゲットとなる国や地域、性質によるため、複数のSNSを運用するのが良いでしょう。

 また、コロナ状況の影響でインターネット人口が増加し、それまで利用経験のなかった人々もインターネットを使用するようになっています。その結果、デジタル上での情報発信が重要性を増しており、高頻度な多言語化情報の発信が求められています。

WebマーケティングやSNS運用については、こちらの記事で詳しく解説していますので是非参考にしてください。

まとめ

 今回は宿泊施設におけるインバウンドとその対策について解説しました。

 インバウンド対策は、日本が持つ多様な魅力を世界に伝え、国内経済の活性化に貢献する重要な施策です。今後も継続的な取り組みを通じて、より多くの外国人観光客が日本の魅力を発見し、快適に過ごせるような環境作りが求められています。

 インバウンドの獲得は売り上げにも直結していく大切なポイントですので、ぜひ本記事を参考にしてインバウンド獲得に活用してみてください。

記事作成:メトロエンジン株式会社

 2016年創業。ダイナミックプライシングを活用したSaaSシステムのパイオニアとして躍進。ビックデータから人工知能・機械学習を活用し、客室単価の設定を行うダイナミックプライシングツールをホテルなど宿泊事業者に提供。また、レンタカー業界や高速バス業界など幅広い業界のDX支援事業も展開している。

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